きおくのきろく

フィクションとノンフィクションを混ぜて書いています

ここではない何処か

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今利用している電車は朝の通勤の混雑や遅延が酷く、仕事よりも移動がしんどいと感じていたこともあり、転居を決めた。

 

特に今住む場所に愛着など無かったし、住む理由も特に無かったつもりだった。

 

一つ心残りがあるとすれば、この多摩川の景色を見れなくなること、蔦屋家電へ行けなくなることぐらいだろうか。

 

人混みは苦手だけれど、この川の風景は決して嫌いではなかった。

 

心残りという程でなければ、近所の滋味深い醤油ラーメンが食べられなくなったり、近所のローソンの、店長らしい男性店員の、複雑骨折の回復具合が遠目から確かめられなくなったりと、それぐらいだろうか。

 

神田川も味わい深いですよ、多摩川に比べたら小さいかもしれいけれど、私はこの街が好きなので、ぜひ住んでいただきたいわ」

 

私に部屋を紹介して頂いた不動産屋の方はずっとその土地に住んでいる方で、地理に富み、その土地を心から慈しんでいた。

 

決して生まれ育った場所では無いけれど、今度住む土地を、私も心から好きになれたらいいなと祈っている。