きおくのきろく

フィクションとノンフィクションを混ぜて書いています

胡瓜、ハム、チーズ、キャベツ

 

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柄にもなくサンドウィッチなどを作ったので写真を撮った。

弁当を作る、というのが性にあわない私にとって昼休みはそれほど楽しいものではなかった。

 

材料といえば、もらいものの胡瓜、ハム、近所のドラッグストアの食品コーナーに売っているカットキャベツ、プロセスチーズ、マヨネーズなど、特別なものなど何も無かった。計算すれば1食150円程度だろうか。

 

母は冷凍食品に何の抵抗の無い人だったし、私にとっても弁当といえば、ご飯以外は冷凍食品だった。小さい頃、熱を出して寝込む時によく食べさせてもらった焼きそばも冷凍食品だった。

 

だけど、実際美味しくないと思うものも沢山ある。衣が乾いた白身魚のフライや独特の匂いがするエビ焼売、自然解凍のインゲン豆等、食べたくないと思うものも少なくなかった。

 

高校に入って半年もすぎれば母は私一人分の弁当作りに辟易し、食費を渡すようになった。私は特に気にもとめず、大体のお昼ご飯をコンビニで値引きされたパンやおにぎりで済ますようになった。

 

その後母が入院していた時期があり、何も知らない祖母が私に弁当を作ってくれた。母との内容の違いにそれはそれは驚いた。

 

ひじきの煮物、鮭の切身、筑前煮、卵焼き、ごま塩と昆布のおにぎりが二つ。カラフルな紙カップではなくすべてアルミホイルに包まれていた。

 

私は食費を渡されている手前、祖母に金銭を支払うべきか話をしたが要らないと断られた。

 

私はタダで中身がきっちり詰まった弁当を渡されたのだから嬉しい心持ちだ。今ほど写真映えを気にするような時代でもなかったし、何より食べ物に当たり外れがない。私は嬉しい気持ちで昼休みに弁当を食べた。

 

話は逸れるけれど、高校に入学して間もない頃、母にお弁当のおかずは要らないから、ご飯を敷き詰めて焼肉弁当にして欲しいとお願いしたことがあった。母はそんな事を頼む娘に随分と驚いたらしく、女の子がそんなものを食べるのはおかしいんじゃないかしら?と言った。

 

「どうしておかしいの」

「だって、野球部の男の子ならまだしも、運動も何もしていない女の子が焼肉弁当だなんて」

「お腹が空くし、おかずを作らなくて良いじゃない」

「お父さんだって、そんなお弁当食べたことないって言ってたよ。やめておきなさい、いじめられたらどうするの」

 

今考えれば、高校生というものがいかに人間として未熟で何がきっかけで人間関係が変わるかを知っていたからこその母の言葉なのだが、私はあまり納得しないまま話は流れ今に至る。

 

結局手作りの焼肉弁当は今日に至る今まで、食べたことがない。

 

話を戻して、今どき、料理上手の条件に写真ばえすることが必須となってしまっているけれど、私は写真ばえなどしなくても美味しいものが好きだ。

 

私の手本の弁当というと、結局行き着くのはやはり祖母が数日間だけ作ってくれたアルミホイルに包まれたお弁当だと思う。

 

今の生活が変わったら、まずはお弁当の中身から変えてみようかなと私はぼんやりとだけれど、考えている。